2016年1月にスタートした「マイナンバー制度」は、普及が進み私たちの暮らしに定着しつつあります。そんな中、不動産投資家にとって、マイナンバーはどのような影響があるのでしょうか。今回は、そもそもマイナンバー制度とはどんなものなのか、影響を受ける人とは誰か、会社に不動産投資が知られてしまうのではないかといった疑問について、ひとつずつ解説していきます。
マイナンバー制度とは
日本で暮らす国民一人ひとりに対して12桁の個人識別番号(法人は13桁)を振り分ける制度を、マイナンバー制度と言います。番号によって個人情報を効率的に管理・活用することで、より適切かつ充実した行政サービスを目指すのが目的です。税や年金・雇用保険といった手続きで幅広く利用されています。
マイナンバーカードは2024年末時点で普及率が80%超に達しており(健康保険証との一体化により急増)、確定申告もマイナポータル連携・e-Tax提出が主流になりつつあります。不動産投資に関連する確定申告手続きも、これにより簡便化されています。
マイナンバー制度は、個人にどのくらいの所得があるのかを国が把握するための仕組みでもあります。銀行口座との紐付けも進んでおり、所得情報と資産状況の把握精度は高まっています。
マイナンバー制度で影響を受ける人は?
所得や副収入が税務署に把握されるため、副業などの収入を申告していない人や、実質は扶養されていないにもかかわらず扶養家族になっている人には税金面等で大きな影響が与えられると考えられます。また、不動産オーナーにも影響がないとは言い切れません。特に所得金額と相続財産といった関わりの深いものがすべて税務署に把握されることになります。
例えば、自分の所有する不動産物件を不動産会社を通して企業Aの社宅にしていたとします。そこで法人から年間15万円以上の支払いを受けていたとしたら、ご自身のマイナンバーを企業Aに対して提供しなくてはならない決まりがあります。
その他にも、税務署へ提出する法定調書の中には、マイナンバーの記載が必要なものが多数あります。今後は所得税や相続税など、税務関係書類にはすべてマイナンバーが記載されるようになります。
会社に不動産投資が知られてしまうことはある?
税務署には個人の所得等がすべて把握されてしまうマイナンバー制度ですが、自分が勤めている会社の場合はどうでしょうか。実は、会社が個人の所得情報をすべて知るようなことはありません。
そもそも、会社がマイナンバーを使って取得できるのは「社会保障や税に関する手続き書類作成事務に必要な範囲」と決まっています。厚生年金や源泉徴収の手続き以外では利用ができなくなっているのです。万が一その範囲を超えた場合は目的外利用となるため、会社は管理責任を取らなくてはなりません。そこまでのリスクを冒してまで、従業員の副収入を調査しようと考えるケースはないでしょう。
マイナンバー以外から副収入が知られる危険性も?
しかし、マイナンバー制度とは関係なく、会社に副業が知られてしまう可能性はゼロではありません。オーソドックスなものとしては、「住民税の金額」が挙げられます。
本来、会社は従業員へ給与を支払う際、住民税を差し引いた額を渡します。納付は会社が代行してくれているのです。当然会社としては、所得税をもとに住民税を算出しますので、この計算が合わないと、副収入を疑われるというわけです。
不動産所得の確定申告をする際、住民税の徴収方法を「普通徴収(自分で納付)」に選択すれば、給与所得分とは別に納付できるため、不動産投資が会社に伝わりにくい構造にすることができます。この点は申告書の記載方法で対応できますので、確定申告の際に確認しておきましょう。
不動産オーナーの方の中には、収入と強く紐付くマイナンバー制度には得体の知れない不安を覚える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ルールの中で適切な収益物件運用ができている方であれば、マイナンバー制度によって不利益を被ることはないでしょう。
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