ご家庭を持っている方にとって悩ましいのが相続税の存在です。
2015年1月1日に行われた相続税の改正により、基礎控除額が下がりました。以降は、従来より少ない遺産でも相続税がかかってしまいます。そんな中、相続税対策として不動産投資がそれまで以上の注目を集めるようになりました。
今回は相続税対策としての不動産投資における基礎知識と共に、考えられるリスクについてもお話ししていきます。
不動産投資が相続税対策になるのはなぜ?
そもそもなぜ不動産投資が多くの方に相続税対策としてチョイスされているのか、という理由についてお話ししましょう。財産が相続される際は、財産の評価額に応じた相続税がかかります。相続される財産が現金預金や株式だった場合、評価額は時価評価で決まるためほとんど全額が課税対象となります。
一方、物件と土地の評価額は購入したときの価格よりも低くなります。条件によって異なりますが、土地は70〜80%、建物なら30〜70%まで下がるのが通常です。この下がった評価額に対して課税されるので、現金で財産を持っていた場合よりも節税できます。
加えて賃貸として物件を貸し出す場合は、家賃収入も期待できます。さらに、基礎控除額の減少をきっかけに、節税対策として不動産を購入する方は増えてきているようです。
相続税対策としてのマンション経営を始める4つのリスク
相続税を大きく減額することができる不動産投資マンションの購入ですが、リスクがないわけではありません。相続税対策としてマンション経営を始めるうえで考えられるリスクを4つご紹介します。
① 空室
入居者がいなければ家賃収入は発生しません。空室が続くと、節税対策を目的として購入した物件が収益を生まないどころか、管理費・修繕費・固定資産税などの維持コストばかりがかかってしまいます。
② 資産価値の下落
購入時より物件の資産価値が大きく下落してしまうと、節税効果よりも損失の方が大きくなってしまうことがあります。この場合は節税のために不動産を購入したこと自体が無駄となってしまい、本末転倒といえるでしょう。
③ 管理の手間・費用
賃貸物件には管理する責任が伴います。管理会社に任せることもできますが、その分の費用で収益性が下がってしまうことは覚悟しなければなりません。
④ 変動金利制のローンによる利息
変動金利制のローンを利用して物件を購入した場合、金利上昇による悪影響を大きく受けることになります。融資額が高額となる不動産購入では少しの金利上昇でも影響は甚大です。
節税効果を生むのは満室経営だけ
不動産を購入しただけで節税が成功したと考えることはできません。上述したような様々なリスクを回避する必要があります。資産価値が大きく下がってしまうようなことがあれば、そもそも節税対策として不動産を購入した意味がなくなってしまいます。
不動産を購入した時点で、マンションの経営は避けて通れない問題です。節税効果を見込む上では、賃貸マンションが空室なく運営されていることは前提となるでしょう。単に節税対策として不動産を購入する場合も、物件選びの段階から将来性・立地を考慮し、運用開始後も空室を生まない堅実な経営を続ける必要があります。
失敗を繰り返さないために——不動産投資は収益性や長期運用を目的に
マンション経営では、運用初期に手取りが多くなる傾向があります。逆に後半期の経営は前半より厳しい戦いを強いられることが珍しくありません。このため、後半に資金が不足しないような計画を立てる必要があります。
不動産投資はロングスパンの経営となります。目先の利益だけを見続けているようでは、同じ失敗を何度でも繰り返してしまうでしょう。10年・20年といった長期運用を目的とすることが肝心です。
まとめ——最新の税制を踏まえた慎重な計画を
大阪・兵庫エリアは人口動態が比較的安定しており、適切な物件を選べば長期的な賃貸需要が見込めるエリアです。マンション経営においてはターゲットを定め、地域情報をよく吟味してニーズを割り出すことが重要です。
なお、相続税対策としての不動産活用をめぐる税制環境は近年大きく変化しています。2022年の最高裁判決では、路線価による評価額と時価の乖離が大きい事案について、税務当局が時価評価を適用した処分が適法と認められました。また2024年1月から施行された新評価通達では、居住用区分マンションに「評価乖離率」を用いた新たな評価方法が導入され、市場価格に近い評価額となるよう調整される仕組みになっています。
相続税対策で不動産を活用する際は、最新の税制ルールを踏まえたうえで、税理士など専門家と連携した慎重な計画が従来以上に重要です。
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